こんにちは!もちぬんです。
いきなりですが、実はカードローン、銀行員の間で「絶対に手を出してはいけないローン商品」と言われています。
自分達は利用しないのにお客さんには勧める…そうです、だから銀行のカードローンはずるいんです。
この記事では、便利なカードローンの意外な落とし穴についての解説とローンとの賢い付き合い方について、元銀行員もちぬんの実体験を元にお話しします。
借入を検討している方、今カードローンを利用している方に役立つ内容ですので、ぜひ最後までご覧になってください!
- カードローンの基本的な仕組みとリスク
- 自分に合った借入をする方法
- カードローンに興味があるけど、返済に困らないか不安
- カードローンの返済残高がなかなか減らない原因が知りたい
カードローンの仕組み
初めに、簡単にカードローンの仕組みについてお話しします。
申込み・借入・返済について
カードローンは銀行等の金融機関に申込みをし、契約を結ぶことで利用できる個人向けの貸付です。
申込みをすると、各金融機関で定める審査が行われます。(審査については後述します)
審査を通過するとカードローン利用可能枠といって、「いくらまでなら借りられます」という上限を教えてもらえます。
借入は限度額までなら自由なタイミングで行えるので、いざという時すぐにお金が手に入るというメリットがあります。
ATMでも借入できるため、最寄りのコンビニでも借入できて大変便利ですね。
返済は、借入した金額によって決められた金利を上乗せした額を、毎月口座からの引き落としで返済します。
金融機関によっては毎月の定例返済の他に、お客さんの好きなタイミングで入金して返済(繰上返済)することもできます。
保証について
保証とは、お客さんが借りたお金を返せなくなった場合に、保証会社から銀行にその分のお金を立て替えて支払うことをいいます。
ここでいう保証は、「お客さんが返済できなくなったとしても保証会社が代わりに残りの残高を払ってくれる」というお客さんへの保証ではありません。
「お客さんが払えなくなったお金を保証会社から銀行に払う」という銀行への保証という意味で、お客さんの債務(借金)がなくなったわけではないことに注意です。
これは代位弁済という手続きで、何度も延滞を繰り返すなどした場合に行われます。
銀行が扱っているカードローンの大抵の商品は、保証会社・信販会社等が保証を提携しています。
銀行はお客さんからローンの申し込みがあると、提携している保証会社等に審査を依頼します。
保証会社はお客さんの信用情報等を調べて、約束通り返済してくれる人かどうかを審査します。
保証会社での審査の内容は銀行員でもわからないのですが、過去にお金を返さなかったことがあるか(延滞・滞納など)という履歴は重視されます。
また、借入が過多でないか等を所定の基準に基づいて判断し、保証の可否を銀行に通知します。
銀行はこの保証会社からの審査結果に加えて、銀行所定の基準をクリアしているかを審査し、どちらも基準を満たしていればカードローンを利用することができるのです。
完済と解約は別なもの
カードローンの場合、「完済」と「解約」は別な意味を持ちます。
カードローンを利用して借りたお金を全て返し終わることを完済といいます。
一度借り入れたお金を完済しても、カードローンの利用枠自体を無くす「解約」手続きをしない限り、再度借入をすることができます。
もうカードローンを利用しないという時は、解約の手続きをしてローン利用枠を閉鎖し、カードを銀行に返却します。
ローン全般の基礎知識についてはこちらで解説しています。
カードローンのずるさとは?
金利が高い
カードローンは他のローン商品よりも金利が高いです。
最初に「◯◯万円借りる」と決めて申し込むフリーローンと異なり、カードローンは銀行に「利用可能枠」を設けてもらい、その範囲内で自由に借りられるというものです。
少し専門的ですが、フリーローンのように最初に借りる金額を決める借入を証書貸付、カードローンのように利用可能枠を儲ける借り方を当座貸越といいます。
カードローンは、借りる額が多くなるほど金利が下がっていきますが、基本的に証書貸付のフリーローン等より高利率で、10%以上の利率に設定されていることがほとんどです。
限度額内で自由に借入ができるという特性上、「1万円だけ短期間借りるお客さんもいれば、利用限度額いっぱいまで長期間借り続けるお客さんもいる」ということになります。
そのため、貸す側の銀行にとっては、お客さんによって得られる利子の額に流動性のあるカードローンでも収益を上げるために、高い金利を設定せざるを得ないのです。
返済がなかなか進まない
カードローンでは、毎月決まった額がきちんと引落しになっているのに、なかなか完済できないということがよく起こります。
これはなぜかというと、利子の計算方法が「元加方式」であることが原因です。
所定の日(利子を計算する日)までの利子を元金に含めて返済額を計算する方式のこと
つまり、利子を含めた元金にさらに利子がかかり、また所定の日に利子を含めて計算されて…ということを繰り返します。
利子の計算は元加方式、返済方法は元利均等返済(返済額は毎月同額だが、元金が多いうちは1回の返済額のほとんどを利子が占める)という仕組みでは、毎月しっかり返済している感覚でも、実は毎月の支払額のほとんど利子ばかりで、元金はさっぱり減っていなかったということが起こります。
大きい金額を借りるとこのような状況に陥り、繰上返済しない限り長年にわたって利子を払い続けることになるというケースが多いです。
借入期間が長く・借入額が多くなるほど、なかなか返済が進まないというわけです。
また、返済日に口座残高が不足していると、自動的に「延滞」扱いになり、元金+利子に遅延損害金が発生します。遅延損害金は通常の金利よりも高い利率であり、普段の返済額よりも高額を返済しなければなりません。
お客さんが返済できなくなっても銀行は困らない
先にお話しした通り、金利が高く、返済が長期間になりやすいカードローンを利用してくれるお客さんは、銀行にとって「嬉しいお客さん」です。
しかも銀行は、お客さんが借りたお金を返せなくなっても困らないのです。
なぜかというと、銀行はお金を返せなくなったお客さんに対して代位弁済の手続きを行うからです。
代位弁済によって債権が銀行から保証会社に移り、銀行は保証会社からお金を返してもらえるため、銀行に大きな損害はありません。
一方、代位弁済が行われたお客さんは、保証会社から借入残高の一括返済を求められたり、分割払いにできたとしても督促が続いたりと大変な目に遭うことになります。
銀行員時代、代位弁済の手続きや督促は何度も経験がありますが、本当に心が痛みました。
当時もこんなローンの仕組みはあんまりだなぁと思っていたので、このブログを通して微力ながら、辛い思いをしている方やお金に関する賢い知識をつけたい方の力になれたらと思っています。
元銀行員からのアドバイス
カードローンはオススメしない
カードローンは先ほど述べた理由から、借りすぎによる返済困難に陥る方が非常に多いです。
カードローン特有の、借りやすいのに返済は進みにくいという罠にはまってしまうのです。まさに銀行がお客さんを離さないための戦略なのでしょう。
限度額いっぱいまで使用している場合、繰上返済をしないと完済の目処が立たないケースがほとんどです。
また、他の借金を返すための資金としてカードローンを利用している方も少なくありません。カードローンから多重債務に発展する可能性もあるのです。
実際、私が銀行員時代に行った代位弁済のほとんどがカードローンでした。
ローン商品の仕組みは、契約時に説明されても素人には分かりにくい上に、金融機関側が優位に見えるような情報はあえて難しい表現をして、情報が出回っていないことが多いです。
この記事で解説した元加方式についても、実際にローンを利用するまで知らないという方がほとんどだと思います。
ちなみに、本稿を作成する上で参考のため様々な金融機関のサイトを見てみましたが、ローンの利用が初めての人にも分かりやすい説明はなかなか見つけられませんでした。
いざというときの備えはどうする?
カードローンはあまりお勧めしないとお話しましたが、急な出費に備える手段は持っておきたいという方も多いと思います。
元銀行員からのアドバイスとしては、以下の使い分けをお勧めします。
- 一時的で急な出費の場合:クレジットカード付帯のキャッシング
- ある程度まとまった支出で、支払いに猶予がある場合:フリーローン
基本的に借金はしない、でもどうしても必要な時は必要な分だけフリーローンかキャッシングで補うというスタンスが、借金地獄に陥らないための考え方です。
キャッシングはカードローンよりも金利が高くなりますが、あくまでもクレジットカードの機能の一つと捉え、緊急時に使用する保険のような役割と考えておきましょう。
人間誰しも、つい甘えが出てしまうことってありますよね。いつでも使えるカードローンが手元にあると「ちょっとだけ」の積み重ねが大きな借金になってしまいます。
フリーローンはカードローン・キャッシングよりも金利が低いことが多いです。
申し込みから融資実行までWEBで完結できる商品や、融資実行が早い商品もありますので、よほど急ぎの場合でない限り、フリーローンでの資金調達を最優先に考えましょう。
例えば資格取得のためのスクール代や、結婚式のご祝儀や交通費などであれば、ある程度資金を準備する期間もあると思いますので、資金使途自由なフリーローンの方が金利を低く抑えられますね。
また、自動車免許取得のための費用や車検費用はカーローンで借入可能な場合もありますし、留学費用を教育ローンで借りるという方法もあります。
このように使い道が限定されているローン商品は、フリーローンよりもさらに金利が低く抑えられます。
お金の使い道に合わせたローン商品があるか検討し、その中で一番金利が低いものを利用することをオススメします。
まとめ
この記事では、カードローンの返済が進まない仕組みや危険性、ローンとの賢い付き合い方について解説しました。
ここまで読んでくださった方、少々難しい内容でしたが最後までお付き合いいただきありがとうございます!
なるべく借入とは縁遠い生活でありたいものですが、もしローンを利用するという時には、使い道に合った商品をご自身で選ぶ参考にしていただけたら嬉しいです。
今回の記事は以上になります。わからないことなどありましたら、お気軽にお問い合わせフォームやもちぬんのTwitterにお気軽にご連絡ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!